PCR検査には全額自己負担で検査する自費検査と、公的医療保険が使える保険適用検査の2種類あります。
3割負担になるから保険適用で受けたいと思う方も多いと思いますが、全員が保険適用で検査を受けられるわけではありません。
この記事では、PCR検査が保険適用になる際のルールや自費検査の活用シーンについて解説します。
PCR検査の保険適用と自費検査
まず、PCR検査には保険適用の場合と自費検査の2パターンがあるので、どういった時に保険適応になったり自費検査になるのかを整理しましょう。 保険診療でPCR検査を受けられるかどうかは各自治体によって基準が異なります。今回は新宿区の基準に照らして見ていきますが、基本的には日本全国の自治体でほとんど同じだと考えてもらって構いません。
PCR検査を保険診療で受けるための条件
保険適用でPCR検査を受けるためには、以下のような条件があります。
- 発熱や咳などの呼吸器症状、その他の症状が見られること
- 医師が診察し、新型コロナウイルス感染症を疑うと総合的に判断した場合
- 無症状だが、濃厚接触者に該当すると判定された場合
基本的には、何かコロナウイルスを疑う症状が見られる場合は保険適用でPCR検査を受けることができます。
また、自己負担分の料金も公費が適用されるため、実質的にはPCR検査にかかる自己負担はありません。
さらに、自分は無症状でも保健所から濃厚接触者と判定された場合は保険適用となります。
※受診の際の診察料や血液検査、胸部レントゲン検査を受けた場合はその分の自己負担が発生します。
PCR検査を保険診療で受けるまでの流れ
PCR検査を保険適用で受けるためには、以下の流れで診察~検査を受けましょう。
- 医療機関への電話相談
- 医療機関で診察を受ける
1.医療機関への電話相談
まず、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状が出た場合、取るべきアクションはかかりつけ医や地域の医療機関、発熱相談センターに連絡をすることです。 このとき、明らかに症状が重く、呼吸困難などの症状が出てしまっている場合は救急車を呼びましょう。
2.医療機関で診察を受ける
電話などで受診する医療機関が決まったらそこに向かい、医師に症状などを詳しく伝えます。受診の結果コロナウイルスへの感染の疑いが強いと医師が判断したら、PCR検査センターなどに行ってPCR検査を受けることになります。
保険適用でPCRを受けるためには医師の案内が必要です。
- 診療情報提供書
- 予診票
- 健康保険証
などを持ってPCR検査センターに行くと、保険適用で検査を受けることができます。
濃厚接触者の場合
まず濃厚接触者の定義については以下のようになっています。
- 患者と同居、あるいは長時間の接触(車内・航空機など)があった人
- 適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護した人
- 患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い人
- その他、手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策(マスクなど)なしで15分以上接触があった人(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)(国立感染症研究所「積極的疫学調査実施要領」より)
家族や同僚が新型コロナウイルスの陽性判定を受けると、保健所から濃厚接触者になった旨が連絡されてくることがあります。この連絡があった場合、保険適用でPCR検査を受けることが可能になります。
逆に言うと、いくら家族や同僚が陽性判定を受けていても保健所から連絡がない限りは濃厚接触者と判定されているとは言えないため、自費検査になるので注意してください。
基本的には保健所からの連絡を待つようにし、どうしても不安で仕方ないという場合は自費で検査を受けるようにしましょう。
ただし、コロナウイルス感染を疑う症状(発熱や咳など)が見られる場合は医療機関を受診し、医師の診断のもとでPCRを受ければ保険適用になりますので、症状の有無によって柔軟に判断するようにしてください。
自費のPCR検査を使うべきタイミングはいつ?
発熱などの症状がなく、濃厚接触者にもなっていない場合、保険適用のPCR検査は受けることができません。
しかし、どうしても自分の感染状況が心配になってしまうこともあるでしょう。そういったときは、自費でPCR検査を受けてみることをおすすめします。
自費でPCRを受けるべきタイミングは大きく分けて下記の3つです。
- 自分が感染していないか心配になった時
- 出張や帰省などの直前
- 海外渡航前
自分が感染していないか心配になった時
例えば、会社の同じフロアで働いている人が陽性だったと聞き、喫煙所やトイレなどで会話していたと思い出して不安になった場合などには自費での検査をおすすめします。
濃厚接触者の判定は、マスクを着用している場合はあまり該当しないことが多いです。しかし、1メートル以内の距離でマスク越しに会話していたら感染したかもしれないと不安になってしまうこともあるでしょう。そんなときには自費で検査を受けてみるのも選択肢です。
また、PCR検査を受けて陰性判定を受けない限り出社を認めないという独自ルールのある会社も存在するようです。そういった会社の場合は自費で検査を受けるしかない場合もありますので、必要に応じて受けるようにしてください。
出張や帰省などの直前
出張や帰省で普段会わない人に会う予定がある場合は自費でのPCR検査をおすすめします。
もし陽性だった場合はすぐに出張や帰省をキャンセルすることが可能ですし、陰性であれば相手を安心させることにも繋がります。
帰省の際には、帰省する側ではなく帰省される側(父母・祖父母)がPCR検査が陰性であることを求めるケースも非常に増えており、そういった場合には有料PCR検査をお子さんの家に送って受けさせたりもするようです。
どうしても帰省する前にPCR検査を受けてほしい場合はぜひ検討しましょう。
海外渡航前
現在、ほとんどの国や地域で入国の際にPCR検査の陰性証明書を提示する必要があります。
多くの場合は出国前72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明が求められますが、国によっては48時間以内だったり、別途書類が必要なケースもあります。また、渡航に関しての情報は頻繁にアップデートされておりますので、ご自身で大使館に連絡するなどして正確な情報を確認するようにしてください。
何度もPCR検査センターに行くのはおすすめしない
心配になったらすぐに自費でPCR検査を受けることができるからといって、PCR検査センターに頻繁に通うことはおすすめできません。
新型コロナウイルスは市中感染が多い感染症です。PCR検査センターに通うということは、「新型コロナウイルスに感染している可能性の高い人が集まっている場所に頻繁にアクセスする」ということを意味します。逆に感染リスクを高めることになるので注意してください。
新型コロナウイルス感染が不安で仕方ない人は有料PCR検査がおすすめです
「自費でもいいから自分が陽性じゃないかを確認したい」と不安に感じて定期的に検査をしたいと思っている方は、有料PCR検査をおすすめします。
当院でも実施している有料PCR検査は、自分で唾液を採取して検査機関に郵送し、結果を通知してもらう検査サービスです。
有料PCR検査の方法は大きく3つあります。
- ドラッグストアなどで市販の検査キットを購入して使用する
- 特定の場所で配布している検査キットをもらって使用する
- 検査機関から郵送されてきた検査キットを使用する
最も手軽なのは1で、ドラッグストアで販売している検査キットを使う方法です。ただし、どこのドラックストアでも取り扱っているわけではないため、定期的に検査を希望する方にはあまりおすすめできません。
2の方法はすぐに検査をしたいと思っていて、かつ検査キットの受け取り場所が自宅や職場から近い場合には有力な選択肢となるでしょう。しかし、配布場所がそこまで多くないことや、早く検査を受けたいと思っている人が何人も押し寄せることで感染リスクが高まってしまうことも考えられます。
3の検査機関から郵送されてきた検査キットを使用する場合は、回数券制などのプランもあり、定期的に検査をしたいという人には非常に合っているサービスです。
当院でも3の方式を採用しており、回数券でまとめて購入することで1回あたりの検査費用を下げることができますので、ぜひ活用してください。
まとめ
保険適用でも自費でも、PCR検査の内容自体は大きく変わりません。
- 保険適用:すでに症状があったり、濃厚接触者がいる場合
- 自費:症状はないが出張や帰省など普段会わない人に会う場合
上記のような認識を持ち、必要に応じて使い分けるようにしてください。
コロナウイルスのワクチンが普及していますが、だからといってPCR検査をしなくてもいいということにはなりません。
ニューノーマルのエチケットとして、PCR検査を活用して自分と周囲の人の感染予防対策に努めましょう。